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6月8日8時1分配信 産経新聞


 債券市場で、住宅ローン金利などの目安にされる長期金利が上昇の一途をたどっている。長期金利は日銀の政策金利の引き上げにも反応しなかったが、ここにきて状況は一変。7日も年初来の最高水準を更新した。日米欧の経済が堅調に推移し、世界的な金利の先高感が背景にあり、長期金利の勢いが「本格的な金利上昇局面の到来」(金融関係者)を告げるのか、市場の注目を集めている。(柿内公輔)

 ■景気の鏡

 「日本経済の回復力が過小評価されている」。政策金利(短期金利)が約5年ぶりに上昇した翌月の昨年8月、日銀の水野温氏審議委員は長期金利の水準が低すぎると強調した。新発10年国債利回りは、昨年当初こそゼロ金利解除を織り込んで上昇したが、同5月に2%をつかの間超えただけで伸び悩んでいたからだ。

 だが、その後も長期金利は弱含み、今年3月には1・545%まで低下した。2月の追加利上げにもぴくりとも反応しない長期金利に、市場では困惑が広がっていた。

 通常、経済の拡大局面では長期金利も上昇する傾向にあり、企業活動や個人の消費生活にも大きな影響を及ぼす。

 例えば、長期金利が上昇し、住宅ローンも連動して上がると、借り入れが難しくなる場合もある。一方、個人向け国債の保有者などは金利見直しで受取金が増える可能性も高まる。また、長期金利は金融機関が企業に融資する金利の参考にもされるので、その上昇は企業の資金調達にマイナスに働くケースが多い。

 方向感がつかめぬ長期金利に、市場関係者の間では「景気回復が本物か見極めようとしている」との見方もあった。

 だが、昨年度の上場企業の経常利益は5期連続で過去最高を更新する見通しで、1~3月期の国内総生産(GDP)は個人消費が2期連続でプラス成長を達成した。

 景気回復のすそ野の広がりを受け、長期金利も今月、昨年10月以来となる1・8%台に突入。7日終値も1・86%で年初来最高を更新した。

 ■利上げも焦点

 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストは「米国の長期金利の上昇や堅調な株価も長期金利の上昇圧力となっている」と指摘する。



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